2012年12月19日水曜日
豪の医師ヘレン・カルディコットさん講演(徳島新聞より)
【福島第一原発事故の影響】
放射能被害についての世界的権威として知られるオーストラリアの医師ヘレン・カルディコットさんによる講演会「ヘレン・カルディコット博士日本公演 with 木下黄太」が、徳島市のあわぎんホールで開かれた。カルディコットさんは、福島第一原発事故を受けて「原子力事故には終わりがない。食べ物は汚染され続ける」などと、日本の放射能の現状や危険性について話した。吉野川鴨島町出身の木下黄太さんが司会を務めた。(須見千次郎)
【遺伝性疾患 増える恐れ】
私は、小児科医で、特別な遺伝性疾患が専門。福島第一原発や旧ソ連(現ウクライナ)のチェルノブイリ原発の事故による放射能が環境を汚染することで、遺伝性疾患は増えていく。このことが一番重要だ。
新か生物学者のティム・ムソ―教授(米国サウスカロライナ大学)が、福島とチェルノブイリの立ち入り禁止区域内に生息する鳥や昆虫類の研究をしている。その中で、普通より小さな脳を持つ鳥たちを発見。多くの雄の鳥は生殖できないこと、くちばしやしっぽが変な形になっていることも見つけた。
放射能汚染によるがんの潜伏期間は大変長く、5年から80年とされる。これは広島と長崎の被爆者のデータから分かっている。原爆はおとされて5年後に白血病が増え始めた。乳がんや甲状腺がんといった固形がんは15年くらいから増え始めた。それぞれのがんで潜伏期間は異なる。被爆者の間では現在、骨髄がんや腎臓がんなどが起こっている。
米国政府は被爆者を実験材料として扱い、研究のデータを取っただけで治療はしなかった。被爆者は日本政府からもきちんとした資料を受けることができなかった。
人間の細胞の中には染色体があり、そこに遺伝子が含まれている。一つ一つの細胞に調節遺伝子があり、放射能が細胞に当った場合、調節遺伝子やDNAを損傷する。しかし、遺伝子が損傷を受けたことはまったく分からない。
卵子と精子が放射能で損傷を受けると、その中の遺伝子も損傷を受ける。遺伝子の損傷が世代から世代へと受け継がれていくことになる。放射能は見えない静かな殺人鬼だ。
福島第一原発事故で汚染されたコメを食べたら、消化器の中から吸収されて、セシウムが脳や甲状腺、膵臓に蓄積される。ものすごい量の放射能が太平洋に放出されたため、海中に落ちた放射能は小魚や藻に摂取され、それを食べる魚に蓄積されていく。汚染された魚は遠い所まで泳ぐため、原発事故は世界的に影響を及ぼす。
政府は食べ物にふくまれる放射性物質の基準値を定めた。でも買い物に行ったときに、食べ物にどのくらい放射能が入っているか分かるだろうか。
福島第一原発事故は、メルトダウンを3回起こした。今までの原子力の歴史において聞いたことがないような大事故だ。懸念しているのは、福島の子どもたちがチェルノブイリよりも高線量の被ばくをしているのではないかということ。子どもは放射能に対する感受性が大人の10倍から20倍高い。胎児と成人を比べると胎児の方が何千倍も感受性が高い。
【食べ物は汚染され続ける】
原子力事故には終わりがない。放射能で汚染された食べ物を取ると、体内のいろんな臓器に蓄積され、なかなか排泄されないからだ。これから先も、食べ物は汚染続けるだろう。
人々のパワーは原子力産業のパワーより強い。子どものため、福島の現状を政治家に訴え続けて欲しい。
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