2012年4月26日木曜日

孫崎享氏の「小沢裁判」

歴史的な日と思う。日本が法治国家、民主国家としてぎりぎりの所で踏みとどまった日である。国民は長期にわたる自民党と決別し民主党を選択したが、旧勢力は中心人物の小沢・鳩山を潰すことにより、改革の道を阻止した。その中で小沢潰しは最たる物である。検察の仕掛け「小沢有罪」の脅しで小沢氏の政治的基盤をそいだ。米国と強い結び付きをもってきた検察は、対米自立を模索する政治家を起訴という手段によって潰すのは戦後一貫した流れである。今回は検察に加え、裁判所内部でも検察審議会に関し不透明な動きが出た。それだけに、日本が法治国家すらくずされるぎりぎりだった。小沢氏の動きを封ずることによって菅、野田、前原、岡田、仙石等の面々は、自民党時代でも躊躇した属米路線、大企業への服従路線を進めた。小沢無罪により全てが解決したわけではない。しかし「小沢有罪」の脅しによって、民主党議員が全く良心的に動けなかった縄縛を解かれた。

2012年4月24日火曜日

「食品中の放射性物質に係る自主検査における信頼できる分析等について」農水省に抗議


                                  平成24年4月24日


農林水産大臣 鹿野道彦 殿



 平成24年4月20日付の24食産第445号「食品中の放射性物質に係る自主検査における信頼できる分析等について」をもって、農林水産省食料産業局長ならびに同局食品小売サービス課長および食品製造卸売課長名で食品産業団体の長あて通知された内容については、現下の食品放射能汚染に対する消費者による独自の安全確保の努力を著しく脅かすものであり、かつ、消費者の立場で食品を製造、販売しようとする製造業者、卸小売業者の取組みを著しく妨害するものであります。
 貴省にあっては、これまでも消費者無視、産業界重視の姿勢により、放射能汚染物資の拡散に無頓着な行政を推進されてきました。その結果、今後あらゆる食品に放射能汚染が広がるおそれがあり、汚染割合50%としての根拠も妥当ではありません。100Bq/ kg等の基準についてもそれ以内であれば絶対安全というものではなく、ドイツ国内では大人8Bq/kg、子供4Bq/kgが食品の目安とされているように、食品の放射能は本来0に近いほど好ましいものです。また、測定方法や測定機関を事実上限定することは、本来国が実施すべき日常食品の放射能測定を、消費者サイドから行う努力すら妨害するということです。
 最低限100Bq/kgを超えた食品の流通は規制するという立場からは、国が自ら実施するのであれば、いくら厳格な測定方法を規定されても構いませんが、製造・販売されている食品すべてについて、放射能汚染の少ないものを選ぶための測定までを規制し、生産者と販売者の努力と消費者の知る権利を奪うようなことは、国民の基本的人権を無視し、健康・命を蔑にする許し難い行為です。よって、私は本文書をもって強く抗議するものです。


 
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2012年4月23日月曜日

IWJ 高橋博子氏インタビュー 2012.1.2


広島市立大学広島平和研究所 高橋博子講師 略歴
http://serv.peace.hiroshima-cu.ac.jp/cgaiyo/kenkyuin8.htm


岩上ABCCには内部被曝の調査を行った科学者もいる。極秘計画「ICHIBAN」計画が元で、DS86も作られたが、DS86は内部被曝を無視した。内部で意義を唱えた科学者もいる。

高橋;内部被爆については無視されてできあがっている。核兵器を開発する側があみだした、ものさし。日本政府はこのものさしで被爆者を切り捨てていった。

岩上:「日本の政府は被曝認定に消極的なのは、保障の経済的問題かと思っていたが、元々のも のさしがアメリカのものを用いていたから。アメリカはなぜ内部被曝を軽視するのか」

高橋第五福竜丸問題。 鳩山一郎氏は原爆投下は無差別大量兵器で違反と発言したが第五福竜丸については…。アメリカが日本に支払って第五福竜丸の事は終わってしまった。賠償補償じゃなくお見舞い金で。岩上「日本の政府は何故米国のものさしをそのまま当てはめるか」

高橋:「1954年の第5福竜丸事件の時も当時の日本の外相は核実験自体には賛成した。200万ドルを米国側が日本側に支払い、日本政府はマグロ線量を測る事をやめてしまった。放射線影響日米会議、開催されたが、アメリカ原子力委員会の人のみ。安全だと言って日本政府の対応をうちきった。

高橋:「1分間に500万CPMまで食しても良いと米国が決めたので、日本は第5福竜丸事件のときにそれを受け入れた。緩い基準で得する人が基準を決めている」

岩上:「福島原発後の食の安全をめぐる基準認定の動きと、第五福竜丸の被曝後、米国の原子力委員会の認定を受けて日本政府が示した基準認定の動きは、類似している」

高橋;鳩山一郎氏、朝日新聞一面で発言。事後検閲体制する中で新聞社側も自己規制をするようになれてきて。新聞社がなかなか報道しにくい状況続いていった。

岩上;「一般の国民には、日本がどのような形でアメリカの言うなりになってきたか。その流れが見   え辛い」

高橋;50年代以降、日本も原発導入方針決まった。原子力平和利用と。プロパガンダ。アイゼンハワー。読売新聞、朝日新聞が強力。被爆者遺品を別の所に移し開催。核問題にはそんな流れが。

高橋;日米安保の反対運動あった。ベトナム反戦運動。アメリカに影響。アメリカに飼いなされていたが違う可能性もあったが残念ながら更にアメリカに飼いなされる方向で今にいたる。日本。

高橋:;新聞最近、開き直ってきてる。原発反対運動高まってなくなるかもしれないという所でおいつめられ本音出してるのかも。核兵器持込歴史も追求もタブーだったが。メディアもだまってたが。

岩上:「米国の視点に立つと、核兵器を用いた相手国に、自主権を渡した上で、そう簡単に核兵器と化す原子力を渡すとは思えないが」

岩上:「敵対するかのようで、核保有国として共通利害を持ち得た米国とソ連は、なぜともに内部被曝をこのように軽視してきたのか」

高橋;放射線被爆の歴史を読めばかなり関係図含めて見えてくる。亡くなったが神戸大學の先生の本。10月に増補版出た。研究会の方がふくいち原発含めて。原点がふかつする形で出版。(よみたい!)

高橋;テーラ議長。その他がマンハッタン計画で人体実験の研究者が委員として1946年アメリカで発足。1950年にICRP発足。アメリカ研究所意向反映され発足された。ICRP。

高橋;アメリカ原子力委員会。国連化学委員会発足したが発足にあたって根回ししたのがメリルアイゼンバット。内部被爆研究。ルイスストローズに相談し。国連化学委員会発足。本人みずから告白。

高橋;国連化学委員会は政治的な意味ある発言を出さないと決まってしまう。IAEAもできてしまう。放射性人体影響について批判めいた研究が出されてしまうとまずいという発想がアメリカとソ連に。

岩上;広く知られるとまずいと。被爆。徹底的情報統制操作。隠蔽。小さい核の事故。核実験。報告は莫大にある訳なのに過小に。残留放射線、内部被爆で健康被害事実が広がってしまっては困る理由は?岩上「内部被曝については徹底した隠蔽、過小に見積もろうとし、ジャーナリズムも懐柔してきた。そのためには膨大なコストがかかるはず。にも関わらず行われてきたのはなぜ」

高橋:核兵器・原発によって潤う人々は結局、それなりの権力者。だから潤沢なプロパガンダが  行える。

高橋;核兵器開発企業や政府であったり、利益得る株主等。核兵器は飛散で持ってはいけないという声をもっとも恐れてる人。原発もうるおってる人達が権力で。核兵器、原発。

高橋;911の後。事情変わってきてる。テロリストの核兵器の脅威と言い出す人が。体制強化されたが。テロという事に凝縮させ標的をソ連からテロにすりかえた。ものは維持する体制に。

高橋:軍産官学複合体は、米国ではマンハッタン計画で築かれた。複数の大学でも人体実験。

岩上:事実が伝わり、核廃絶の運動が広まるとしても、原子力産業に関わる人たちは、なぜここまで残留放射能、内部被曝の問題を隠蔽しようとするのか。

高橋;マンハッタン計画時代に築かれた複合体はある。大学も巻き込んでる。人体実験にかかわってた研究機関なので、プルトニウムを注射しどんな影響及ぼすか経過観察したりした。障碍者や囚人。イヌイットの人にも。

高橋:人体実験の犠牲者、イヌイットや囚人、障碍者、有色人種など社会的弱者。

高橋:ヨウ素131もイヌイットの人達に注射した。

岩上:原子力に関しては、軍産官学に報道が加わる。

高橋;アメリカ。冷戦終わって自由な雰囲気があったが9.11の同時多発テロ以来、全てのメディア が好戦的報道になった。アメリカ巨大メディアも複合体の大きな役割。9.11更に強化。

高橋:90年代に米国に住んでいたが、冷戦後で自由な雰囲気があった。9.11で変化した。メディア もやはり加担している。

高橋:米国にとって日本は便利な反共の砦。日本の戦後保守は本来はナショナリストではない。

高橋;アメリカは日本を守ろうというのでなく便利なとりで。ナショナリストではない。二面性がある。日本はアメリカ核体制の中に入ってしまう事がアメリカは自分達の利益になるという発想。

岩上:孫崎さんんが指摘していてることであるが、核共有に関して。米国は主権と核をふたつセットでは渡さない。米国の核体制下における日本とはどういう存在か。

高橋;日本はアメリカに核の傘(をさしてもらったの)でなく、ターゲットにされた。それどころか放射性降下物の傘に(入った)、日本も世界中も(放射能の危険に)さらされ続けてきた。アメリカに。今も原発を通して。

岩上:米韓FTAは、事実上米韓併合。富と権利を米国が持っていく。

岩上:米国が日本を組み敷いてきた構図は、核戦略もTPPも同じだと思うが。たとえば米韓FTAの内容は全く報道されないが、富と権利をすべて奪う主権の剥奪にひとしい。

岩上:なぜ全面的に屈服し、滅亡への道を歩もうとするのか。その背景には、核の力の有無があるのか。

高橋;アメリカ理想国とすりこまれた流れ。60年安保闘争があったがアメリカがいいイメージ。対米重視対策。それが問題。心中主義。経済のあり方。何の反省もなく取り入れてしまう。問題。

高橋;チリ人監督映像見た。監督が学生時代逮捕され収監され友人も亡くなった。証言を引き出そうとするドキュメント。チリは新自由主義の実験場になったと。そういう方向のままストップかかってない。

高橋;学生達ようやく怒りを出し始めてきた。アメリカも大学の学費が高い。学生は500万円借金 かかえて卒業。ローンがすごい。ヨーロッパ大学は学費がかからない。留学生にも。全然違う。

高橋:メデイアも含めてエリート。

岩上:核は誰も差別しない。世界中に影響が出る。新自由主義の世界の中で、選良にだって被害は出る。なぜ平時にこんなことができるか。

岩上:核爆発も原発も無差別的かつ持続的、しかも広範囲的である以上、その被害を知らしめていくのは当然のはずなのに。戦時ならばまだしも、平時で知らせないのはなぜか。

高橋:結局、弱い地方、植民地に押し付けることで核政策は進められてきた。

高橋;原発は地震列島にたてるのは危険。地方におしつけてる。東京に電力を流す。構造自体が問題。核実験場もアメリカから遠く離れてる。植民地をつかって実験。

岩上:250キロ離れた都心も汚染されている。なのにどういう理由で、原発を続けようとするのか。

岩上:冷戦下でもないのに、日本では原発が建てられ続ける。何故か。

高橋;原子力村そのものが問題。アメリカの放射線委員会でさえ低線量被爆認めてるのに。日本専門家は軽視発言繰り返し。アメリカよりも先に進んでる状態。やめられなくなってきてるのかも。

高橋:日本の原子力ムラ、放射線防護の学者たちは、ある意味米国よりも進んでいる。内部被曝を認めないことが彼らのアイデンティティ。原子力ムラを守るため。

岩上:長崎から福島に乗り込んだ山下俊一氏のような原子力村エリートは、どのようにして生まれてきたのか。広島長崎には反核運動の一方で、彼のような存在もいたということか。

高橋;日本は世界一、内部被爆についてむとんちゃく。広島大学と長崎大学、放影研、科学的交流で優遇される関係。放影研は、アレルギー研究所がアメリカにあって、予算とってもらってる。

岩上:ABCCが日本を舞台に成立し、医学者を巻き込みながら放影研へとつながったところの説明をお願いします。

高橋;日本は世界一、内部被爆についてむとんちゃく。広島大学と長崎大学、放医研、科学的交流で優遇される関係。放医研は、アレルギー研究所がアメリカにあって、予算をとってもらっている。731の関係者とABCCが絡んでるとすると相当なスキャンダル。731は戦時中中国なんかで相当人体実験してた。そんな組織とABCCが絡んでたの?原爆傷害調査委員会 ABCC原子爆弾による傷害の実態を詳細に調査記録するために、広島市への原子爆弾投下の直後にアメリカが設置した機関である。 

岩上:原子力に関しては、軍産官学に報道が加わる。

高橋:内部被曝をここまで彼らが懸命に研究している事の、本当の狙いはやはり分からない。どのような軍事利用があるか。

高橋:「放射性廃棄物を使ったダーティーボムが話題になったとき、逆に95%放射性物質がカット できるクリーンボムを作ろうとした米国人もいた」

高橋;汚い爆弾。言われたから放棄すると思いきや綺麗な爆弾を作ろうとした。エドワードテラー。何とかして次の手をうつ。95%放射線をカットできるからと。放射性降下物あまり出さない核爆弾。

高橋:綺麗な核爆弾の研究。放射性降下物を減らす。工事にだって使えるなどと。

高橋;実現はせず。予算はとったが。エドワードテラー。亡くなったが。しょうこりもない。同じ発想が
ずっと続いている。山下氏も。予算がとれるということで。

高橋;笹本氏。去年お亡くなりに。低線量被爆問題いついて危惧されていた研究家。(笹本さん の本、中川保雄放射線被爆の歴史、)エドワード・テラー。ハンガリー生まれでアメリカに亡命したユダヤ人理論物理学者である。アメリカの「水爆の父」として知られる笹本征男さん。在野の歴史家。専門は日本占領史。『米軍占領下の原爆調査 原爆加害国になった日本』 (1995、新幹社)

2012年4月22日日曜日

ソーシャルネットワークの危険性 孫崎亨氏


 孫崎 享 ‏ @magosaki_ukeru

ソーシャルネットワーク:危険性に気付く必要。National post21日Goodspeed 論評 :アラブの春は抗議をする者がツイッター、フェースブック、インターネットを使い、動員、組織化され、抑圧政権を倒した。従って新しい技術は抑圧者側に有利に作用すると思われた。

ソーシャルネットワーク2:しかし、逆に、民主主義から独裁まで様々の政権は全ての人々の動向を把握し、不満の者を特定し抹殺が可能。通信の傍受及び町にあるカメラを通じ、全ての人の発言と行動を把握が技術的に可能、かつ容易、財政的にも負担可能。歴史的に大きな転換期。

ソーシャルネットワーク3:データ保存コストの急落で、政府は全ての人の生から死までのデータ蓄積可能。カナダ、米国、英国はネット情報を当局に渡す法律整備。100万人の人の日々24時間の行動を5分間隔で1年分を特定出来るのをや50ドル分の蓄積で出来る。

ソーシャルネットワーク4:米国議会図書館は2010年全ての公的ツイートを送るようtwitterと契約。2009年イランの緑革命で革命防衛隊はツイート、フェースブック等で通信把握し逮捕。ジョージ・オーエルの世界(1984年)を超える世界へ」

2012年4月12日木曜日

玄侑宗久氏講演会聴講メモ 2012.4.11 上智大学

「フクシマ」以後の世界

カタカナの「フクシマ」になってしまった。本来、福島はハッピーアイランドということだった。


3号機が爆発した時点で、前年10月からプルサーマルの運転が始まったことを知っていた住民は、ただ事ではないという感覚を持ち、避難者があいついだ。自分は、15日葬式があったので、町にいなければならなかった。ちょうど雨が降り、着ていた紫の衣が濡れた。大熊町などから役場の人も避難していたため、精度の高い線量計があり、測ってみると、三春町で15日14:00が最大の線量8μSv/hというとんでもない値を示していた。数日後に発表になった国を値は、これよりはるかに低く、その時点で国、県は信頼できないと認識した。すべてがそこから始まった。


天皇陛下が被災地を訪問された際、「人々の雄々しさに深く胸を打たれています」と発言された  。ブータン国王は「日本に対する深い親愛の情」を伝えに来てくれた  。「雄々しさ」「親愛の情」は、市場主義や経済的な価値観とは異なる目に見えないもの。


東北は、もともと奥羽と陸奥で、明治以降東北と呼ばれるようになった。東北は丑寅の方角で、鬼門にあたる。鬼とは異なる価値観を持つ人たち意味する。昔から中央の征服に抵抗し、最後まで残った拠点には、鬼のつく地名が残っている。東北には、中央の経済的な価値観に基づかないあり方を探るべきである。


この目に見えないものとは、後で触れる放射能ももうひとつの目に見えないものだが、「利他」に他ならない。『利他的遺伝子』(利他的な遺伝子  ヒトにモラルはあるか 筑摩選書 柳澤 嘉一郎)というのがある。リチャード・ドーキンスの『利己的な遺伝子』は有名だが。人類の利己的な遺伝子は旧く、利他的な遺伝子は新しいという。新旧の間に社会の形成があった。肉体的に他の動物より劣る人間が、地球上で生き抜くためには社会の形成が不可欠だった。他人の経験を自分のことのように認識するミラーニューロンというのがあり、利他の遺伝子を目覚めさせる。


お化け・幽霊は「いる」「いない」という問題ではなく、「でる」「でない」という問題で、自分の頭の中にそれに対するソフトがあれば「でる」がソフトがなければ「出ない」ことになる。今回の津波は、誰も経験したことがないため、目で見ても、経験に基づいてそれを自分の認識に置き換えることができない(ソフトがない)ものであった。


「最悪の事態に備える」ということは、医療で言えば、インフォームドコンセントである。余命3年程度と判断される患者に対して、最悪を考えたら2年、最良でも5年ということなら、医師は2年と告げる。これで医療としては責任を追求されることはなくなる。しかしそれによって、確実に患者は2年で死ぬという傾向になる。プラシーボ効果(偽薬効果)によって、あと5年生きられると言われれば、より長く生きられるというのが人間である。宗教的に言えば、残り2年と告げるのは「呪い」で、5年と告げるのは「祈り」である。


放射能の影響をLNT仮説で評価するのは、放射線防護の考え方であり、実際にどうかは解らないと言うべき。低線量被爆の問題もお化けが出る出ないが脳のソフトの問題であるのと同じと考える。人間はそう簡単には割り切れないメンタルな存在ではないか。


大人より細胞分裂が早い子供の方が影響を受けやすいと言われてものも、ベルゴニー・トリボンドーの法則という、ラットの生殖細胞による実験結果で、精原細胞、精母細胞、精子をくらべて、精子より若く細胞分裂頻度の高い精原細胞の方が影響を受け易かったというものを一般化しただけのもの(注*チェルノブイリの調査結果から子供の方が心電図異常が出やすいことなど細胞分裂とは関係のない有意な影響が証明されている)。子供の方が体外への排出も早いことからも、子供の方が影響を受けやすいというのは仮説にすぎない。最近、セシウムの影響に対しては子供の方が強いという実証結果を南相馬市の医師が出した。子供の甲状腺にセシウムは蓄積されておらず、子供は癌になりにくいという結果だった。ヨウ素については事情が違うが。


新しい基準値で、水が10Bq/kgになったが、日本の名水のベクレルは0.24~99まであり、10ベクレルでは飲めない水がたくさん出てしまう。(注*水の10Bq/kgはセシウムの値であり、玄侑氏の言う0.24~99ベクレルはラドン濃度である。現状、全国の水道水でセシウムが出ているところはない  。


今回、原発があって普段ならお目にかかれない様々な人達と出会った。他の宗派の人達とも会い、各地から様々な支援ももらった。知り合いがいるからというだけで多くの支援をしてくれた人。神戸市からは、ちょうど一年前の4月11日震度6の地震があった後、屋根瓦が落ちたため、雨露をしのぐために必要となったブルーシートを880枚も届けてくれた。人々は眼に見えない『心』の問題に目覚めた訳であるが、同じく眼に見えない放射能にはどう対応するべきか。それは、坊主にくけりゃ、袈裟まで・・で、脱原発だから何が何でも放射能は許せないということとは、また別物ではないか。

石破議員に聞いた話では、原発を持つこと自体が、核抑止力になっているという認識があったという。しかし、核は一度使用すれば、世界が破滅するということはみんなが解っている。決して使用することはできないものである。使用できないものであるなら、そろそろ核の傘は閉じるべきではないか。


【感想】:玄侑氏はもちろん立派な僧侶であり作家であり、日本の知識人の一人である。しかも、実際に被害地である福島県に住み、現地の実情を熟知され、実際に日々の行動を実践されている。何も批判できる点はない。氏が言われる通り、放射能は眼に見えぬものとしてあるが、心とは全く異なるものであり、これまでの経験知の中にない、つまり、私たちの脳のソフトに存在しない問題である。これまで、エスタブリッシュされた日本の思想家とか知識人の放射能観を見ると、やはり放射能のことがよく解らないために大胆に、あるいはどっちつかずな判断をされている例が多いような気がする。自らの知識人としての立場に自信を持っている人ほど、そういう傾向が強い。男性に多いのだが、国家主義的・観念的な視点から、個人の被爆問題をとやかく言うのは国のためではないというような論調まである。今回、玄侑氏の講演には、そのような浅く観念的な視点は少しもなく、深く事態をご自身の経験から考え抜いた内容であった。しかし、放射能に関してはやはり情報不足ではないだろうかと思われる点もなかった訳ではない。どんな立派な知識人でも、人格者でも、事故の前にまったく学んだ事がないものなので、若いネットワーカであろうが老練の文学者であろうが、条件は全く同じだと考えるべきである。そのことに気づいいている人だけが、放射能に対するより正しい知識を身につけることができるとも言える。今回の講演は、宗教の壁を越えた、「東日本大震災追悼の集い」ということだったので、宗教者としての立場を前面に出されたせいか、放射能への対応の仕方については、予防学的なあり方より、宗教者としての捉え方を強調されたと受け取れた。放射能の影響については、楽観的な祈りの心で対処するというのはそういう意味であろう。別のところで氏は、予防的なあり方(最悪を想定)と楽観的なあり方の中道を行くということを言われているので 、単なる楽観論者ではもちろんないのだが、「子供は放射能に強い」というような話は、それだけで特別な言説となってしまう恐れもあり、聴く立場としては全体のコンテクストをよく踏まえて、趣旨のありかを抑えておく必要があるだろう。ちなみに、私は、すでに大量の被爆をしてしまった人達に、それ以上の被爆は大した問題ではなくなった状態という条件付きでなら、子供の方が癌に強いんだというかどうかは別として、宗教者的な祈りの言葉をかけるべきだろ思う。しかし、一時減少したものの、年が明けてからさらに放射性物質降下量が増加している現状や、時間を経て現れる晩発性の障害、食物呼気を通じて今後長時間受けるであろう内部被爆の問題があり、大量の被爆をした上にその様な継続的な低線量被爆が複合することの未知の怖さを考え合わせるとき、やはり、まだ暫くは予防学的な対処方法を軽んじるべきではないと考えている。



2012年4月7日土曜日

パブリックコメント「放射性物質汚染対処特措法施行規則改正案に対する意見」提出


環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部廃棄物対策課殿

以下の通り、パブリックコメントの意見を提出します。

「放射性物質汚染対処特措法施行規則改正案に対する意見」

[1]氏名 ○○○○
[2]住所 ○○○○○○○○○○
[3]電話番号又はメールアドレス

[4]意見(意見ごとに必ず下記事項を記載)

・意見の該当箇所
「 2.改正の内容
  ◯ 事業活動に伴い生じた廃棄物については、対策地域内廃棄物から除外し、
 当該廃棄物を排出した事業者が、事業系一般廃棄物又は産業廃棄物として、
 自ら処理を行うこととする。」

・意見の要約(意見は簡潔に記載)
  事業者の敷地内から発生した廃棄物は、他の対策地位内廃棄物と同一の
 方法により行うよう改正案を修正されたい。

・意見及び理由(意見の根拠となる出典等があれば添付又は併記)
  事業活動に伴い生じた廃棄物のうち、事業者が事業所の建設や改修を行う
 ために既に事業用地内に存在する廃棄物を回収した場合、その廃棄物は放射
 能汚染廃棄物であり、事業用地外の廃棄物となんら変わらないため、自ら処
 理を行うことは放射性物質を拡散することになるなどの理由から不適切であ
 る。従って、費用負担は事業者にさせるなどし、回収処分については、他の
 対策地域内廃棄物と同一に行うことが必要である。また、事業開始後新たに
 発生する廃棄物についても、放射能汚染の有無を確認し、必要に応じて同様
 の措置をとる必要がある。


[5]提出先
・郵送:環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部廃棄物対策課
(〒100-8975 東京都千代田区霞が関1-2-2)
・FAX:03-3581-3505
・電子メール:houshasen-tokusohou2@env.go.jp